> 古今の仕事 > わかばの住まい「い」
ダイニングの壁面には安価な杉材を貼り、コストを抑えながらも空間のアクセントになっています。その下は、一部タイル貼りとし、緑の居場所を作っています。これからどんな緑が置かれるか楽しみな空間です。
居室だった部分の間仕切りを取り払い、3枚引戸で仕切れる寝室兼リビング一角の和室としました。黒竹と天井の和紙が空間のアクセントとなっています。
キッチンとパントリー・ダイニングが直線で繋がり、家族の会話が生まれる線。南面の障子からこぼれる柔らかな光の中、ウオールナット材を用いた造作のテーブルで優しい飾らない時間が過ぎていきます。
断熱性能・調湿性能に優れた障子を南面開口部すべてに採用。南面からの優しい光が入ってきます。
リビングには、家族共用のワークスペースと本が好きな住まい手のため大容量の可動式本棚を造作。住まいの中にたくさんの居場所があります。
玄関を開けると、ガラスの建具越しに南面・リビングからからの光が溢れます。目隠し・通風・採光のためツガ材の格子を造作。
障子は既存のものをリユース。折れていた桟は交換し、新旧の桟が混じって新しいデザインの障子となりました。障子の奥は2.5帖の押入れ兼ウォークインクローゼットとなっています。
クローゼット内の湿気逃しため、シナ材の建具にデザインも兼ねて丸穴を空けました。穴に指を引掛け、引手の役割も担います。
北側玄関側からの借景。下足入れはシナ材の建具とタモ材の天板のみを交換し、リユースしました。
キッチン~ダイニングの動線。視線が届かない部分には≒1帖のパントリーがあり、キッチン周りの使い勝手を向上させています。
キッチン背部のバックセットをラバーウッド集成材とシナ材で住まい手がこれからご自分色に作りこめるようシンプルに造作。
既存の和室の設えをリユース。洋室にも合うようタモの突板を貼り、杉の無垢床・障子と共に懐かしく優しい寝室となりました。障子は北側の居室によくある結露を抑制する効果も期待できます。
築30年 横浜市若葉台にあるマンモス団地内にある80㎡の
一室を中古購入にされた住まい手と共に
画一的な暮らしをせざるを得なかった昔ながらの間取りから
今の時代でも通づる普遍的な部分のみを抽出し、住まい手のセンス
やこれからの住まい方を落とし込みながら、丁寧にリノベーション
しました。
多くのマンションや団地のデメリットでもある、採光や通風などの
悪さから生まれる空気だまりを改善するため、
日本古来の設計手法を元に自然エネルギーを取り込みやすくする
回遊できる動線を意識し、障子や格子などの古き良きモノを積極的に
採用しながら、光も風も人も抜けていく空間を目指しました。
床には断熱・防音を兼ねた30mmの杉の無垢フローリング、
壁や天井には柔かいニュアンスの雰囲気が作れるケナフの自然素材
クロスを採用。
住まい手さんのお仕事柄・センスの良さもあり、
古今のモノづくりのスタイルを初見の段階からご理解いただき、
予算や工期の縛りを潜り抜けながら、緑が好きな住まい手さんのため
に室内に緑の居場所を作るなど、シンプルで簡素で決して派手ではない
けれど、住まい手の「好きだな、これ」の想いが存分に表現され、
今後の移り変わっていく暮らしや家族構成に対応できるよう
これから作りこめる余白を残した住まいとなった。
Type: 団地 リノベーション
Place: 横浜市旭区若葉台
Cost:
Content: フルリノベーション 総建築費720万 工期2.5か月