> 古今の仕事 > 舞岡の家
キッチンからの目線。広がり、緑、光、風、家族の姿を感じながら、ただただ気持ち良く料理をしていくという行為を意識して設計した。
マンガシロと既存の梁との色味が通ずる。重心の低いダイニング。
玄関からホールを望む。
寝室のアール壁が空間に柔かさとアクセントを加えている
寝室内・リビング・キッチン3か所に吹き抜けを設け、行き止まりのない家を構成している。冬場は障子で間仕切る。
他より35cm床を落とすことで「座る」という行為が各所でできる。使い方を限定しないリビングのカタチ。床を下げる分断熱は他よりも念入りに行っている
シューズクローゼットを伴った玄関。玄関・玄関網戸を引き込むことができる。収納扉引手はオリジナル革引手。
小屋裏から将来のワークルーム兼階段踊り場を望む。北側のからの安定した光の陰影が美しい。
リビングからダイニングを望む。
シナ材に白色を伴った浸透系ワックスを塗布した古今オリジナル造作キッチン。造作の木製小窓がアクセント。
凛とした空気感のダイニング。引き分けの造作木製サッシには見え方、大きさ、重さなど各所にこだわり設計した。
出窓部分のみを杉材で包み、外壁にポイントを設けた。
横浜市戸塚区に建つ築20年の平屋のリノベーション。
立地は、程よく視線が抜けて、空が広く感じる周辺環境。
近くには川が流れ、地域の方々の散歩道に面し、横浜とは
思えない緩やかな空気感があり、時間の流れもゆっくり
流れている雰囲気を持っている場所。
住まい手は30代。夫婦+子供一人。
時間がゆっくり流れる場所と平屋建て建物の親和性に
理想の暮らしの可能性を見出し、中古物件の建物調査依頼を
私達に頂いたところからリノベーション計画が始まりました。
既存建物は、入母屋の屋根構造を持つ純和風の住まい。
調査の結果、床の傾きや基礎のクラックなど補強が必要な部分
も見受けられたが、建物の基本構造となる柱や梁、土台は太く、
雨漏りなどもなく充分にリノベーションに耐えうる状態である
ことを確認した。
リノベーション計画では、先ず命を守る建物であることの担保
を最優先し、耐震を建築基準法の1.5倍(耐震等級3)を
確保できるよう耐震計画を練った。
基礎のクラックには基礎の内側から炭素繊維を貼って基礎の
耐力を高める計画とした。
合わせて、新築同等の断熱・気密性能を確保するため
間取り変更にて合わない部分はサッシを交換し、既存のサッシを
残せる部分はガラス交換を計画し
断熱材も全て交換、屋根には遮熱シートを貼っている。
床のフローリング下には厚物の合板ベニヤを下地とし
水平構面の耐力を上げるとともに、壁との取り合いのスキマ
には十分な気密処理を行い、住まいの温熱環境を整えている。
間取り計画では、日本家屋らしい天井の高さを生かし、
新規に階段を設け、小屋裏を計画した。
それ以外の部分では住まい全体をワンルームとして見立て、
吹き抜けを3箇所計画し、各所に視線が抜けるよう透過性のある
素材を随所に設置、窓の位置や大きさも綿密に計画しながら
住まいの隅々まで視線や光と風が行渡るよう設計している。
住まい手の大きな要望の一つにリビングは他より床を下げたい
という要望を踏まえ、+αの提案として窓辺にベンチを設けたり、
出窓に座る場所を設けたりと、住まいの各所に居場所を作る
計画とした。
住まいの中では、季節や一日の時間の中で気持ちの良い
場所は変わっていく。
ひとつの家の中で、猫のようにその時その時で気持ちの良い
場所を変えながら、日々の暮らしが営むことが出来る住まいは
それだけで幸せだと思っている。
住まい方を限定しない、作り込み過ぎない、住まい手の暮らしに
よって変わっていく住まいの使い方。
個人的には、
土地の持つ雰囲気との融合、
耐震、断熱気密、居心地を生むデザイン、
窓へのこだわり、光と風、予算感
自分のさける持ち時間、など
この物件でありとあらゆるものの条件下
で出来る限りのことが出来、それらが
上手くいったような気がしています。
あとは、住まい手が住みこなし、
住まい手色になっていく過程の中で
良いことも、もしかしたら悪いことも
様々な感想がもらえることだろう。
経過観察を続けていきたいと思っている。
仕様
床:杉30㎜無垢フローリング
壁:自然素材クロス・一部漆喰
天井:マンガシロ突板
外壁:ジョリパット通気工法
屋根:ガルバリウム鋼板
Type: 一戸建て リノベーション
Place: 横浜市
Cost: 1550万
Content: 全面リノベーション