景観と風景のあいだ
2021.12.23
20代のころ、壮年期の人たちに40代はびっくり
するくらい早いぞーって言われてて、
30代を経てわかってたつもりが、
一年って早いですねーっていう会話も
言い過ぎて、言いたくないのに
まだ言い足りない。
一年って早い。
日々、自分なりの目標を追いかけて
嫌な思いも苦労も心労もあって
体もしっかり疲れて、おかげで
達成感も結果もついてきてるけど、
365日あって、8760時間あって、
525.600分あるのに
結局何をしてた?って思ってしまうほど
やっぱりどうしても一年って早い。
時間軸は人によっても場所によっても
置かれている環境によっても、意識によっても
大きく違う中、僕らが生業にしている家つくりに
とってはより時間軸が異なる。
それらに通ずる本に
「 景観十年、 風景百年、 風土千年 」
という風土工学の提唱者の言葉があります。
著書を引用しますと、
「景観が損なわれる」という言葉を耳にすること
が多いが、景観とは壊されるもので
十年間以上は定着しないものである。
壊されずに残るものが風景といえ、さらに、
評価が定着すると風土になる。
どこの地域でも新しい景観を造れば
最初を良いなぁと思われるだろうが、
その地域の個性というものを把握し、
その個性に適した景観でないかぎり、
その景観は色褪せてきて風景として
後世に残ることは不可能だろう。
とある。
まとめると
景観は、10年スパンで
今現在の私達の暮らしを
反映するが、いずれ
壊れゆくもの。
(店舗やイベントショップ、家も当てはまるか)
風景は、100年スパンで
過去から今現在にかけての
歳月を経て、その地域の独自性を帯びて、
景色として定着したもの。
(白川郷の茅葺屋根の家々など)
風土は、1000年スパンで
その土地の時間軸の中に、
そこで生活を営む人々の歴史、
文化が蓄積され、その心を読み
取れるもの。
(法隆寺や東大寺など)
私たちの生業の家つくりは
どんなに建物を良質な材料で作っても、
再利用できる材料で作っても
景色に馴染むデザインとして
落とし込んでも、結局
建物の基礎がコンクリートであって
それがある以上、壊すときは産廃だし、
コンクリートの寿命がその建物の
寿命となることが多い。(≒60年)
劣化したコンクリートを補完したり、
強靭化する方法もあるが、
もう100年寿命が延びるわけもなく
あくまで補強でしかない。
ということは、上記の定義に当てはめると
僕らの仕事は、
景観にはなれるが、風景にはなれない
かもしれないということだが、せめて、
私たちのような建築業者は、
関わる家つくりや外構の緑において
クライアントの日々の生活の営みが
その土地に息づくことを考えながら、
後世へと「景観」を「風景」として繋げるよう
育んでけるようにしていかなきゃなと。
上記の定義だと、
「景観」と「風景」のあいだの家つくり。
そのための家の配置、デザイン、
素材選定を思慮し、その素材が
生きるよう丁寧に建築していく
事が僕らにできることだ。
そして↑来年の抱負!
来年は2022年。
2022年生産緑地問題。
(知ってますか?)
農地が宅地に変わり、多くの
無作為な目先の利益のための
建築計画が実行されるかもしれない。
もうそんな時代じゃないのに。
農地と共に
きっと風土にはなれないけど
地域の人々の記憶に残る
「景観」と「風景」のあいだの場所に
その場所がなっていくことを切に
願います。
今年も古今を頼って下さり、
ありがとうございました。
来年度は新築もありますが、
生まれ変わらせるリノベ計画が多い印象。
リノベも立派な
「景観」と「風景」のあいだの家つくり。
私たち古今も引き続き私たちにできることを
やっていきます。
よいお年を!!
古今 元井
~年末年始休暇 のお知らせ~
2021年12月26日~2022年1月5日まで休業とさせて頂きます。