これだからね。。。
2017.09.23
最近、コンコン咳き込む人が周りにちらほら。
必ずこういう温度差のある時期には私も
喉が痛い。。。ってなるのですが
今年はならず。なぜだ。逆に怖い。
古今は、8月後半からひと段落していましたが
9月から10月にかけて青葉区内で新築・リノベーション
が始まり出すのでその準備を着々としています。
上記のようなわたしたちが準備できる段階まで来てしまうと
住まい手さんも私達のような作り手側も目の前の
今後作られていくであろう空間を妄想し
あーだこーだで打ち合わせしていけるので
お金だけは頭の片隅に置きつつ、何も気を揉まず楽しく
やれるのですが、今回のブログは
先日、場所を絞った中古物件探しから改装までを目論見、
弊社に来て下さっていた方の事に関して綴りたいと思います。
その方々は
中古戸建を自分たちのライフスタイルに合う場所で
探し、お金の許す限り自分たち色に改装し住みたい
という、緑が好きで虫さん上等、住まいの中には
自然素材で経年美化していく素材を使いたくて
火を愛でながら暮らしたいとお考えになっている
古今にとって一緒に住まい作りをしていくと
純粋に楽しい!って思えるご夫婦とお子さんたち。
今回、近くの不動産屋らしくない不動産屋
アーキプロジェクトの田尻さんと共同で
場所を絞りつつ物件を探して、物件を一緒に見て、
建築士目線で建物調査して
というのを繰り返し、ようやく私達のような
建築屋が見てもこれなら改装時に悪いところを作り
変え、良いとこを生かして行けば
ご要望に応えられそうだと思えるものが
2件でてきました。
この方々は、物件金額+リフォーム金額をセットで融資を受ける
リフォーム一体型で融資を受け
住宅ローン減税や税金関係を考慮しながら自分たちが
考えるリフォーム金額にどれだけつぎ込めるかという
色々な狭間を調整しなくては納得できる形には
ならないという、すごく調整力が必要となる
案件で。さあ契約に向けて動きますかっていう
段階で
ここで出てくる
既存住宅売買かし保険。
これが今回の問題児。
売主は
買主が抱えている住宅購入の不安の解消策として、
競合他社との差別化や売買金額等に役立てることができ
買主は
住宅購入の不安を解消するだけでなく、
一定の要件を満たせば住宅ローン減税や税制優遇等の
適用を受けることができる
という、本来、
中古物件の購入の際、一番心配なこの物件、大丈夫か?など
中古物件売買取引において
双方がメリットを享受しながら中古物件を流通させようという
思惑の制度。
がしかし。そんなに甘くない。
いくつかの基準があって、検査を受けて晴れて
保険を付けれるのですが、物件1に関しては
売主さんが調査検査NG。仲介の不動産屋制度知らない。
ということは説明が出来ていない可能性が大いにあるのだが
そもそも売り出ししているくせに、中は見ていいけど
検査はNGって。
正直、ええっ!売る気があるのって言いたかった。
合わせて下記で出てくる床下点検口がないということで
実は検査も受けれない事がわかった。
物件1 終了。。。
住まい手さんは諦めきれない感じで。。。
この時はわたしももやもやと幾ばくかの怒りがすこし。
既存住宅売買瑕疵保険を利用するにあたっては、
専門の資格を有した建築士が建物を瑕疵保険検査基準
に照らし合わせて検査を行ない、“基準を満たしている場合に”
のみ、保険が付保されます。
この時に発行される「付保証明書」が、築20年(又は25年)
を超える物件で住宅ローン控除等を利用する際に必要となる
わけです。
じゃ、基準を“満たしていない場合”はどうなるか?
物件1もそう。床下点検口がないだけで。
満たしていない場合というのは、例えば雨漏りの形跡が
あるとか、外壁にひび割れがある(ヘアクラックを超える)
といった場合。
その他、床下点検口が無くて床下の検査項目が
確認できなかった場合もなどもそうです。
これらに該当があった場合には、“物件の引渡し前
までに”瑕疵保険検査基準を満たすよう
是正工事を行なうことで、瑕疵保険が付保され、
付保証明書が発行される。
ここで問題になるのが“物件の引渡し前までに”です。
引渡し前ということは、所有権がまだ売主にある時点で
工事を行なうということです。
中古物件は売却活動中も売主が居住していることが
多く、感覚的には半分くらいの確率でしょうか。
売主としては、できるだけ買主の意向に沿うようにしたい
という気持ちもあるでしょうが、買主の都合で自分の家が
まだ住んでる状態で、赤の他人が入ってきて
工事されるのも受け入れがたい気持ちも当然ある。
ということは、いくら引き渡し後のリフォーム計画で
床の貼り直しや外壁塗装や屋根塗装、
床下や天井に点検口ない場合には
工事して付けて行くなどの指摘事項部分の工事が
考えられていても、売り主さんが引渡し前に
工事をさせてくれないと
この制度は受けれないということなんです。
簡単に言うと検査に是正項目が出た時点で
この保険で住宅ローン減税が受けれない
ことが大方確定されるということなんです。
この保険には「引渡後リフォーム工事タイプ」
というものもあるのですが、
瑕疵保険を付けるという目的については、
これで解決できるのですが、
付保証明書を取得して
「住宅ローン控除等を利用する」という目的は、
この「引渡後リフォーム工事タイプ」では
解決することができない。
つまり、住宅ローン控除等は利用できないのです。
なぜならば、住宅ローン控除等を利用する場合には
、“引渡前までに付保証明書が発行
されていなければならない”からです。
なんだかな~。
じつは、耐震で適合証明(現行基準の耐震力)
が取れれば、住宅ローン減税を受けれるのですが
築20年以上の木造の在来工法では一般的に
現行基準の耐震力はありません。
大規模リフォームをして耐震力をあげて、断熱を
新築同等にしていくような形ですと考慮できるのですが
使うところは使って、悪いところは直すような形の
リフォームだと無駄に費用がかさみ、本来お金を
使い所にお金が回せなくなり、
暮らしたい暮らしがそこで実現できず
本末転倒な出来事になってしまうということもあり
なかなか中規模リフォームだと手が出ないのが実情。
住まい手さんは物件2においても指摘事項が
屋根等で出てきていやーこれもだめかー
って思っていたのですが、幸い売主さんや
仲介の方の考慮、アーキプロジェクトさんの押し
など様々なものが起因してか引渡し前に工事に
入らせて頂くという形で合意でき、
ようやく前に少し進められる段階までになった。
結論
この制度は本当に使いづらい。
買主とっても、世の中にとっても。
中古が今後、世の中に流通させるって息巻いているけど
これじゃ全くもって使えない制度。
日本の中古住宅が欧州や欧米のように手を入れられたもの
にはしっかり価値あるものとして世の中に流通していけるか
どうかにおいては買主の購買欲を補てんする
減税処置が受けれるかどうかということはすごく大事な話だ。
中古なんだからある程度の不具合があって当たり前。
それを直して住み続けられるようにする改装技術や
残すべきポテンシャルがその住まいに大いにあっても
今の制度では何の意味をなさない。
今の制度では、
しっかりきっちり手入れされた築20年を超える中古住宅。
築20年内の住宅。(あっという間に出来る建売も含まれる)
耐震力が担保されているプレハブ住宅など
この制度が使える物件は限られている。
でも実際は、
残したい物件や残すべきポテンシャルを秘めている家って
上記にあてはまらない、築年数が古い家の方が多い。
そこには
当時の大工さんの技術のとんでもない手法や
今では手の出ないような木材が柱や梁で
使われていたりとこれらの評価基準にはのってこない
価値基準の住まいが残っている。
既存住宅売買かし保険
実際に、築年数は古い家だけれども、素晴らしい構造を持ち
大規模リフォームで新築同等のスペックに耐震力も温熱環境も
変えていけるとわかっている側からすると、
なんとも表層的なと思ってしまう。
この制度を使いやすくするには
ただ単純に引渡し前に検査をして
指摘事項があれば、リフォームで修補して
再検査→合格→付与証明受け取り→
確定申告で控除・還付。
こんな簡単な事ができないのだろうか。
ここには想像に容易く、不動業界の闇があり
本来の中古流通の意図なんてないがしろな事実が
あるとかないとか。
あるでしょ。
これだからね。。。
今回は幸運なことにこの住まい手さんは引き渡しが済んでない
以上まだ安心はできないが、アーキプロジェクトさんの
尽力もあり、良い方向にいきそうだ。
今回、色々右往左往して、検査基準の曖昧さに嘆き
色々電話して聞いたり、やることはやった気でいるが
無知で、もしかしたら知らないことも有るのかも知れない。
だけども、きっと世の中の実情に照らして制度がそぐわない形で
あることは間違いはない。
色々心が折れそうなものを踏ん張ってきた彼らのために
妄想の暮らしに出来るだけ近づけて、僕らは建築でしっかり
その踏ん張りに応えてあげたいと思う。