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惑う年頃

2022.09.08

「不惑の40代」

だれが言ったのであろう。

 

 

私、40代中盤、壮年期とも言われ、

世間では立派な中年。

 

 

確かに自分の社会での役割や

損得勘定なしに、

自分がこういう風に動けると

人に役に立てるなという、ある一種の

仕事においての自分の取扱説明書

はかなり充実してきている。

 

 

だが、人生、

なぜこんなにも惑うのか。

 

 

私だけでなく、

仲良くしてくれている

古今のOBで同年代の方々、

友人の一部の人たちは

総じてみな40代にして

仕事はみな自分の場所を持ち、

自分の能力の切り売り

することで価値を高め、収入や

やりがいを得る、もしくは

その場所のなかで特異性をもって

会社の知名度を利用しながら

地に足をつけて

生きている人ばかりだ。

 

 

だけどみな否応なしに惑う。

 

 

移住を決めて準備中の人、

大学に入りなおした人、

離婚して、もっと自分の

役割を開放したいと飛び出した人。

 

 

昔、糸井重里さんも

どこかの対談で

40代はいままでと

同じコンパスで描く円の中にいる限りは

万能感にあふれてるけど、自分でも

うすうす感じ始めるらしい。

 

 

同じコンパスで描いた円の中に居れない、

だとすると、おや?

今のままでは通用しないって。

 

 

それで一度、40代だからこそ

小手先で誤魔化しができてしまう

部分を引き出しにしまって

「ゼロになってちゃんともう一回もがく」

ことを人生の先輩として伝えたいって。

 

 

そうしていくと知らず知らずに

50代からの楽しみに繋がると。

 

 

みんな、こんなこときっと考えても

聞いてもないだろうに

自分のコンパスの円を

自分ではみ出して新たな円を描きに行く。

 

 

ブログ書いていて

周りがこういう行動して、動いてることが

実は一番自分を惑わしている

ことに気づいた。

 

 

小さくしか動けていないからかなと。

 

 

あーぞわぞわする。。。

 

 

でも、これからに関して

自分なりには仕事での指針みたいな

ものは持っていて、生業の家づくりでも

他の仕事に関しても、決めていること

がある。

 

 

「絶対にやりたくないものからは離れる」

 

 

ということ。

 

 

若いときは、時間も無限に感じたし、

嫌なことが今になって反面教師に

なるかなと、甘んじて

受け入れてきたけど、もう時間も

見えてきたし、価値観も絞れて来てる今、

もうほんとこれだけは。

 

 

でも、これは逆説でもあって

「絶対」が付かないものは、愚痴や

文句を言いながらやれることなら、

逃げずにやり遂げろってこと。

 

 

↑偉そうなこと言いながら

まあ、どうやっても他との

兼ね合いもあって、ぞわぞわ止まりません。

 

 

結局、惑います。

 

 

このトンネルの答えは

50代~か。

 

 

今はひとまず、「不惑の40代」

という言葉を作った人に、

ただひたすら八つ当たりしたい。

 

 

 

 

 

上釈迦堂の家

月内から少しはみ出し、

木工事が完了。

 

 

 

この物件の見せ場である、

ソファ置き場、横の出窓。

 

 

海ビューの窓には

当初、集成材を予算的に考慮

していたが、思い切って予算

オーバーのホワイトオーク(ナラ材)の

無垢剥ぎ材を奮発採用。

木目が美しいです。

 

 

集成材と無垢材(無垢剥ぎ材)の違い

 

 

 

外部もそとん壁の仕上げが

終わり、土色の外観が露わになりました。

内部は木工事完了後は、

塗装、内装、珪藻土、建具、家具、

照明、設備品取り付けと建築で

仕上げ工事といわれる、目まぐるしく

現場では工程が移っていきます。

 

 

その中でも塗装。。。

(クロスや珪藻土は、

完成時の色味や雰囲気が読みやすい)

 

 

あー惑う。(というか悩む)

 

 

同じ自然素材系クリア塗装でも、

表面に塗膜を作らず、木に含侵し、

防汚と防水機能を持たせたもので

大まかに2種類。

 

 

ワックス仕上げかオイルフィニッシュか。

 

栓の柾目という素材ものに塗布。

上がオイル、下がワックス。

 

 

オイルだと全体的に色が乗り、

ワックスだと木目が強調される感じ。

 

 

同じクリア塗装でも

元々の素材が持つ木目や

色目によっても仕上がりの色味が全然違うのです。

 

 

ファルカタのランバー材に塗布。

上がオイル、

真ん中がワックス、

下が浮気して色を加えたオイル。

 

 

同じ自然素材系

クリアの防汚塗料でも

全然違うのが見て取れるだろう。

 

 

塗ってみないとどう色味が付くのか

木目が浮き出るのかわからない

怖さがあるのも塗装。

 

 

この差を現地では

なく、図面上やサンプルのみで

判断するのは、実は相当

難しい。

 

 

合わせて、この塗布は不可逆的で

2度と戻れないので、失敗は

大工工事からの作り直しと直結

するのも塗装。

 

 

 

だから端材を用いて、

何ならサンプル製作用の分、少し

長めにオーダーして板材を作って、

いくつもサンプルを作って決めていきます。

 

 

色、入れる?、いややっぱり浮くな。。。

やっぱりクリアか。。。オイル?ワックス?

 

 

って現場で悩みに悩んでいつも

やり切ってこれで失敗したら

しゃーないってところまで悩んで

決めています。

 

 

ここの物件は、米松、ナラ、セン、

スプルス、杉、ファルカタ

六種類の木を使い分けているので

余計かも。。。

 

 

完成形。

こうなると何を悩んだかさっぱり

わからないのが寂しい。。。

でも、きっとそれは馴染んだという事(そう、信じる!)

 

 

私たちの設計施工のメリットは、

設計時に決めた内容を、

現場でもう一度検証、調整できること。

 

 

窓辺での日の下での色合い、

室内での蛍光灯下での色味、

検証、検証。

 

 

住まい手と3か月以上、打ち合わせして

決めたフィーリングや好みを反映し、

かつ、設計者としてこの素材を使うなら

持ち味を十分発揮して、この空間に

上手に馴染んでほしいという思いは、

実は塗装の選定が完成時の

空間の質を意外といい割合で占めてくるので

手間はかかるけど、慎重に慎重に

決めていきます。

 

 

 

これも図面にはないけど、現場で大工さんと。

 

座ったらモモ裏が角にあたって痛くないように

R加工。

 

実用的な向上を狙ったのに、

これだけでなんだか雰囲気が達観する感じが

するのは不思議。

 

 

 

 

惑う年頃。。。

 

 

 

惑うとか悩むは結局、

クヨクヨしてぞわぞわして

動かないと納得ができないタチ

だけなのかもしれない。

 

 

やっかいなタチですこと。

 

 

この場合の

妥協とタチは反義語。

 

 

僕らの仕事にはタチがないと

対価を返せない気がしてます。

 

 

タチ、バンザーイ。

 

 

 

 

 

 

青山の家(仮)

きっと、悩むんだろうな物件。

 

 

今週末から実施設計(詳細打ち合わせ)

が始まる。

アメリカのミッドセンチュリー時代の

フラットハウスを彷彿とさせる

外観。

 

 

敢えて軒先ではなく、

ケラバ側(妻側)をファサード面(南側)に

設え、日射をバランスよく屋内に入れこむ計画。

 

日本だと意外と見慣れない建物形態。

 

住まい手も二階建てと平屋での見積バランス、

(平屋と二階建てでは平屋の方が割高です)

敷地への馴染み具合などを鑑みて、

私、個人的としても自分の提案で

この敷地ならこうしたいよなーという

直感めいたものに正直にしっくりと来た

平屋提案のフラットハウスでの家つくりを

選んでくれた。

 

 

 

こんな、環境にひっそりと大胆に佇みます。

 

 

冬の着工を目指し、住まい手と

耳から煙を出しながら、悩み、惑い、

考え、共に進んでいきます。

 

 

 

古今 元井

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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