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変容させるもの

2022.11.05

 

北鎌倉の家

 

バス通りから

隣家横の旗竿を通り、

 

玄関先のみすこしチラ見え

する外観。

 

見えるのはちょこっとだけど

奥にある真四角の敷地を

目一杯使う形状。

 

真四角ゆえに

杉板を縦と横に貼り分けて

少しでも陰影やデティールで

のっぺり感を無くそうと

してます。

 

旗竿敷地では、住まい手の

ご友人が植栽を手掛けてくれるそう。

 

これはこれでまた新鮮な気持ちで

建物と緑が出会えそうな予感がします。

 

 

建物担当として

やること、やれること、

自分にできることを職人と共にやろうと思う。

 

 

余談。

 

前にもどこかで書いた気がするし、

書いてないかもしれないし、過去を

遡ればわかる事なんですが、ちょっと

遡るのが手間だからまた

書いてしまおうと思う。

 

突然ですが

私は、建物を建てる際に行われることが

多い、土地の神を鎮める儀式である

地鎮祭が好きなのかもしれない。

いや、好きというよりかは

面白いと思っています。

 

この日本人としての文化や風習が

作り上げたのであろう、人が作った

勝手な場の前に立ち、祝詞を聞いていると

さっきまでの何気ない周辺の家々、

地面の土の中に見える古い配管の破片や

コンクリのガラなどが気になって

しょうがなかったただの場が

突然、神々しい空間に、

厳かな空間へと変容していく。

 

あの瞬間、いやあー

面白いなあといつも思っている。

 

自分の期待している神主さんの

祝詞の声質だと、なおこの上なく

背筋がピンと厳かになる。

 

何気ない何物でもない

昔だったら子供が走り回るだろう

ただの土地に

海の物、山の物が添えられた祭壇、

四隅に竹で囲いを作り、注連縄を

張る。

 

この簡素極まりない道具立ての前に

神主が降神の儀を執り行うと

そこに神らしき雰囲気なるもの

が舞い降りて、注連縄の

囲いは結界へと変容し、

囲われた場所が神聖な場所と

となる。

 

そしてまた

昇神の儀を行い、神っぽい

雰囲気にお帰り頂くと、

また何でもない普通の場所

に戻っていく。

 

この変容具合、この様が

異様に面白いと思うし、

きっと日本的なんだろうと

思っている。

 

考えてみれば、興行で

地方に作る相撲の土俵もそう。

 

昔は、四方に柱が建ち、注連縄のような

結界もあり、神聖な場所として、

塩を撒く儀式も残っている。

 

地方興業の即席の能舞台にも

同じことが言えるかも。

 

同じ空間でも

間隔や余地、余白みたいな意味合いの

西欧のスペースとは全く

意味合いが異なる。

 

神社や国技館、

伝統的な舞台で行われる、

人がその場所に出向くよう儀式とは違い、

人がその場所に働きかけて

形を作り、意味のみを見出すことによって

儀式の空間が生まれるていることに

面白味を感じるし、日本文化の

尊さを感じています。

 

少しでも地鎮祭の面白さを

感じていただければ嬉しいです。

 

余談でした。。。

 

 

 

 

上釈迦堂の家

モデル 増島ケント

 

 

家具のサブスクで家具を

レンタルして海望窓前で試し撮り。

 

 

このアングルの写真には

椅子やソファ、スツールなどが

「座るツール」が良く似合う。

 

それらを配置させると

その写真という結界でくり抜かれた

この景色が空間に変わり、

座るツールを映しこむだけで

暮らしの場所へと受け取り側の

印象を変容させることができる。

 

これもいつも思うが

住宅写真を変容させる

座るツールの持つパワー。

 

 

古今造作の

丸のダイニングテーブルを

竣工祝いとしてプレゼントすると

施主と約束したので配置していくとで

また住宅らしく、暮らしを営む場所に

空間が変容します。

 

施工完成写真を撮らせていただき、

最終的に施主検査をして

一先ずのお引渡しとなります。

 

ハンモック付けとか

縁側作りとかまだ少し付随工事は

有りますが、住まい手の想いと

その土地にある環境をどう使うかという

設計士に与えられたミッションを

融合して、施工品質良く、仕上げられたな

と思っています。

 

住まい手の暮らしがここで

どのように営まれていくのか

のぞき見したい気持ちで一杯です。

 

また一つ、思い入れのある家が

完成です。

 

 

古今 元井

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